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【書評】東洋学園大学教授・櫻田淳が読む『【戦後史の解放II】自主独立とは何か』細谷雄一著 現在も残る日本の病

『【戦後史の解放II】自主独立とは何か』細谷雄一著
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 本書は、英国外交史研究を専門としてきた著者が描く「世界の中の日本」戦後史の第2弾である。本書が叙述の対象とする被占領期の日本が投げ込まれたのは、国際秩序の一つが終わり、他の一つが始まろうとする国際環境の変移の真っただ中であった。

 第二次大戦終結直後の東アジアでは、日本の「帝国秩序」崩壊後の残骸の上に米国主導の国際秩序が築かれようとした。この国際秩序の形成に絡む諸相の描写は、本書の特色であろう。そうした変移に際して占領下の日本を導いたのは、主として幣原喜重郎、芦田均、吉田茂ら外交官出身の歴代宰相であった。

 本書では、近衛文麿との対比において、彼らの「国際性」の意義が説かれる。国際秩序の変移への「適応」を迫られた往時の日本にとって、宰相の「国際性」の持つ意義は決定的であった。こうした外交官出身の歴代宰相の対照として指摘されるのは、戦後思潮に大きな影響を及ぼした知識人における「国際性の欠落」や「視野狭窄(きょうさく)」である。

 たとえば、宮澤俊義は、現在では憲法第九条に拠(よ)る戦後護憲平和主義の開祖として語られるけれども、日米開戦の折には「快哉(かいさい)」を叫び、戦後の新憲法制定過程では明治憲法の骨格を残すことに執着した。著者は、そうした宮澤の姿勢を「学者としてのインテグリティ(誠実さ)に欠ける」と評している。また、丸山眞男はもともと国際政治・外交史を専門としていなかったにもかかわらず、終戦直後の「空気」に半ば呼応した平和論を書き、世に影響を与えていった。

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