産経ニュース

【書評】静岡大学名誉教授・小和田哲男が読む『信長君主論』関厚夫著 マキャベリが戦国武将分析

ライフ ライフ

記事詳細

更新

【書評】
静岡大学名誉教授・小和田哲男が読む『信長君主論』関厚夫著 マキャベリが戦国武将分析

『信長君主論』関厚夫著 『信長君主論』関厚夫著

 本書はサブタイトルに「マキャベリで読み解く戦国武将の虚実」とあるように、マキャベリの『君主論』や『政略論』を使いながら、その言葉で織田信長をはじめとする戦国武将の行動をとらえようとしたユニークな本である。

 しかもびっくりしたのは、著者が最新の研究に目配りしていて、正親町天皇と信長の関係について、従来主流だった対立説から融和説に変わっていることなど、きちっと押さえている点である。新しい研究成果だけでなく、意外と知られていない古い文献にも目を通しているところも注目される。新井白石が『読史余論』で本能寺の変を取りあげ、「その最期が善くないのは、自ら招いたこと」といっているあたりは、あまり知られてはいなかったのではないかと思われる。

 ところで、マキャベリはマキャベッリとも書かれるが、イタリアのフィレンツェの人で、信長の誕生より前に亡くなっているので、同時代を生きたわけではないが、「イタリア史における信長」などといわれるチェーザレ・ボルジアをその著『君主論』で絶賛しており、著者は、そのマキャベリなら、信長をどう評価しただろうかという視点で信長論を展開する。随所にマキャベリの『君主論』や『政略論』が引用されていて、信長およびその周辺の人びとが、何をどう考えていたのかがわかっておもしろい。

続きを読む

「ライフ」のランキング