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【昭和天皇の87年】皇太子を名君に… 大任は海の英雄、東郷平八郎に託された

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【昭和天皇の87年】
皇太子を名君に… 大任は海の英雄、東郷平八郎に託された

画=豊嶋哲志 画=豊嶋哲志

 東宮御学問所の開設は、当初の予定より1カ月遅れた。大正3年4月9日に、狭心症で療養中だった昭憲皇太后の容体が急変し、崩御したからだ(※1)。

 親しく話すことの多かった“おばば様”の崩御-。昭和天皇実録には、裕仁皇太子が青山御所内の殯宮(ひんきゅう)をたびたび訪れ、霊柩(れいきゅう)に菓子などを供える様子が記されている。

 東宮御学問所の開所式が行われた5月4日も、裕仁皇太子は「憂愁の御意浅からず」だった。翌日の東京日日新聞によれば、「御開始式の御事ありて後、侍臣を顧み給ひ『おばゞ様が御存生であらせ給はゞ、今日の儀をさぞ御喜び下さるであらう…』と仰せて、沈痛の御気色を拝したさうである」

 とはいえ、いつまでも悲しんではいられない。

 東郷が、厳かに言った。

 「平八郎、謹みて言上し奉ります。殿下には今日より当御学問所に於かせられ御修学遊ばさるヽに就きましては、益々御尊体を御丈夫様に遊ばされまして、御学問を御励み遊ばさるヽやう偏(ひとえ)に冀(こいね)がひ奉ります」

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