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【海峡を越えて 「朝のくに」ものがたり】(36)蔚山(ウルサン)飛行場の栄枯盛衰 朝鮮の大空かけた旅客機

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【海峡を越えて 「朝のくに」ものがたり】
(36)蔚山(ウルサン)飛行場の栄枯盛衰 朝鮮の大空かけた旅客機

蔚山飛行場に来た「愛国」号の前に立つ岩下さん一家(右から2人目が鎮生さん、昭和7年、岩下鎮生氏提供) 蔚山飛行場に来た「愛国」号の前に立つ岩下さん一家(右から2人目が鎮生さん、昭和7年、岩下鎮生氏提供)

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 蔚山(ウルサン)は、釜山の北約70キロ、朝鮮半島南部東海岸にある港町。現在は、韓国を代表する財閥・現代グループの企業城下町として知られているが、昭和17(1942)年の朝鮮総督府統計によれば、人口(蔚山郡)約2万9千人、このうち日本人(内地人)は675人しかいない。

 宮崎市在住の岩下鎮生(しずお)(92)の父、久栄(ひさえい)(1894~1969年)は大正3(1914)年、宮崎師範を出て、12年に朝鮮へ渡った。昭和7年4月、釜山高等小学校から蔚山小学校の校長として赴任。翌年に同小に入学した鎮生は、「釜山に比べると蔚山はとても小さな街で、さびしい田舎に見えた」と振り返る。

 その蔚山郡の三山里に4万円の巨費を投じ、京城飛行場(汝矣島(ヨイド))と並ぶ「蔚山飛行場」が造られたのは3年のことである。約6万坪の敷地に600メートルの滑走路と格納庫、航空会社事務所などを備え、10年には約10万坪に拡張され、拠点空港のひとつとなった。

 政府の支援を受けた航空会社「日本航空輸送株式会社」の設立も3年の10月。翌4年4月から内地、朝鮮、満州間相互の貨物・郵便輸送を開始、同年10月からは、定期旅客便の営業もスタートさせている。路線は内地の東京-大阪、大阪-福岡のほか、京城-平壌、平壌-大連など。「蔚山」は京城-福岡ルート、その先の内地や大連への中継地となっていた。

 とはいえ、民間飛行機を利用できるのは、まだまだひと握りの人だけ。9年3月の民間航空事業概況によれば、朝鮮内の定期航空航路は計約670キロでしかない。就航している航空会社は、日本航空輸送と満洲航空の2社のみ。航空機は6機、パイロットは20人で、このうちの7人が朝鮮人パイロットとなっているのは興味深い。

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