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元NHKアナ・内多勝康さん、「医療的ケア児を社会で支えて」

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元NHKアナ・内多勝康さん、「医療的ケア児を社会で支えて」

「医療的ケア児の存在を広く知ってもらいたい」と話す内多勝康さん 「医療的ケア児の存在を広く知ってもらいたい」と話す内多勝康さん

 転機となったのが、5年前に報道番組「クローズアップ現代」で放送された、NICU(新生児集中治療室)の取材だ。医療技術の進歩で新生児救命率が上がった一方、医療処置が必要なまま自宅に戻る赤ちゃんも増加。退院後の家族に、ケアの負担がのしかかっているという現実に直面した。

 「1日1回は死にたいと思うんです」。インタビューで、そう口にした医療的ケア児の母親のことが心に残った。「誰かに話すことすらできなかったんでしょうね。本当に希望を失っていたんです」

 ◆笑顔に励まされ

 問題意識は深く脳裏に刻まれていたが、NHKを辞めるつもりはなかった。しかし、知人を通じて、もみじの家のハウスマネージャー就任の誘いを受けた。

 もみじの家は、「重い病気を持つ子どもと家族ひとり一人がその人らしく生きる社会をつくる」という理念を掲げる。「こういう施設が全国に広まったら、どこに住んでもハッピーに暮らせる。社会を作るという壮大な話ですが、自分の役割があるならありがたいこと」

 50代で飛び込んだ新しい世界。慣れないパソコン作業や医療用語に苦労したが、「利用者の方が喜んでくれる笑顔が僕の唯一のエネルギー」と笑う。

 課題も見えてきた。もみじの家は保育プログラムも提供しているが、「保育のために専門スタッフを雇用しても、現在の公的な制度では十分な報酬が得られません。でも、預けられた子供がどう過ごすかが、家族の満足度に関わります」。

 今回の本の印税は、必要経費を除いて、もみじの家に寄付する予定だ。「医療的ケアが必要な子供の存在を若い人たちに知ってもらえたら。アナウンサーとして培った発信力を生かしていきたい」。目指す未来の姿は、すでに定まっている。

                   

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