産経ニュース

【正論】北海道停電が示す日本の6重苦 国際環境経済研究所理事・竹内純子

ライフ ライフ

記事詳細

更新

【正論】
北海道停電が示す日本の6重苦 国際環境経済研究所理事・竹内純子

国際環境経済研究所理事・竹内純子氏 国際環境経済研究所理事・竹内純子氏

 加えて温暖化対策の要請が強まり、低炭素化を進めていかねばならない。火力発電への投資は資金調達が困難になるのは確実だ。実は北海道電力は、泊原発停止の長期化への対応と老朽火力の設備更新を図る必要性から、石狩湾に天然ガス火力発電所を建設中で、来年2月の竣工(しゅんこう)を予定している。

 しかし地震発生前には、需要減少のなか投資回収をどう見込んでいるのか、温暖化対策の観点からなぜ今、火力発電所の新設なのかと、強い批判にさらされていた。北海道の特殊性から、火力発電所の新設が進められていたが、全国的に見れば火力発電所の建設が今後、進むとは考えづらい。

 さらに、北海道電力は本州との連系線の増強も進めており、今年度内にはそれが完成する予定だった。事業環境の変化を踏まえれば、むしろ特殊に投資を行って対策を進めていたのに、それが間に合わなかったのは不運としか言いようがない。

 北海道電力の対応を後から批判するのはたやすい。しかし「6重苦」ともいえるこれら制度変更や環境変化が、電力ネットワークの安定性を損ないつつある現実を直視し、重要設備については自家発電設備を導入するなど、社会の強靱(きょうじん)化も進めておくべきではなかったか。北海道大停電は電力インフラのあり方だけでなく、日本社会の強靱性をいかに確保するかという大きな問いを投げかけている。(たけうち すみこ)

「ライフ」のランキング