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【正論】北海道停電が示す日本の6重苦 国際環境経済研究所理事・竹内純子

国際環境経済研究所理事・竹内純子氏
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 9月6日未明、北海道内全戸停電という未曽有の事態が発生した。一旦送電が復旧した後もなお電力供給は綱渡りを続けており、電力不足が生活・経済のあらゆる場面に影響を与えている。電力不足で設備の洗浄が十分にできないため、せっかく搾乳した生乳を全て廃棄処分にしているという酪農家の方の話には、胸が詰まった。

 ≪安定性を揺るがす3つの変化

 「インフラ中のインフラ」である電力が途絶することの影響は甚大だ。今回も室内で発電機を使用し一酸化炭素中毒で亡くなるという痛ましい事故が起きたが、真冬であればさらに多くの人命が失われる事態となっただろう。電力供給に関するリスク管理は幾重にも施しておくべきであったのに、こうした事態に陥った原因はどこにあるのだろうか。技術的な原因分析は今後の調査に委ねるとして、構造的な要因を考えてみたい。

 現在、電力ネットワークの安定性を保つことが、これまでにないほど難しくなっている。理由は、原子力発電所の長期停止、自由化の進展、再生可能エネルギーの導入拡大という3つの環境変化だ。

 福島第1原発事故を契機に引き上げられた安全基準への適合審査に数年を要しており、必要な設備投資も1基あたり1000億円以上にも膨らんでいる。通常の安全規制と同様、設備を稼働させながら新しい基準への適合を進められれば余裕もあっただろうが、原発の代わりに火力発電所を動かす燃料費も負担しながら、莫大(ばくだい)な安全対策投資を行うのはしんどい。

 停止期間が長引く間に地元の首長が代わり理解獲得に時間がかかるケースや、停止を求める訴訟も頻発している。原子力事業の予見可能性が失われていることで、他の発電事業の将来予測も立てづらくなっている。

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