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辻仁成さん新作「真夜中の子供」 少年に救い、歓楽街の希望

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辻仁成さん新作「真夜中の子供」 少年に救い、歓楽街の希望

作家、辻仁成さん 作家、辻仁成さん

驚きと感動

 この小説は、自らが監督となって映画化することが決まっている。実際、物語は映像映えしそうな情景に富み、後半には読者を驚かせる展開もある。

 「驚き、感動し、いろいろ考えてもらいたい。幸福に対する価値観がすごく狭まっている今の時代だからこそ、一人一人の空想力を広げられるような物語を作りたい」

 パリに住んで16年。息子も来年には現地の高校に行く。最近、フランス語を母語とする環境で育ってきた息子との感覚の違いを実感するという。

 「僕の知らないものを彼はいっぱい持っている。親子でも、違いがあるんですよ。だから何でも杓子(しゃくし)定規に良い悪いと決めつけるのではなく、ゆるやかな感じでいかないと世の中は一つの形にならない」。長い海外生活で得たそんな現実感覚は、創作の貴重なエネルギー源でもある。

                  

【プロフィル】辻仁成

 つじ・ひとなり 昭和34年、東京生まれ。福岡、帯広、函館などで育つ。54年にロックバンド・エコーズを結成。平成元年に『ピアニシモ』ですばる文学賞、9年に「海峡の光」で芥川賞。11年には『白仏』の仏語訳版が仏フェミナ賞の外国小説賞を受けた。映画監督としても活躍する。

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