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辻仁成さん新作「真夜中の子供」 少年に救い、歓楽街の希望

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 手法として意識したのは21年前の芥川賞受賞作『海峡の光』。函館少年刑務所という箱庭的な世界を設定し、かつての同級生の関係性を見つめていた。「中洲のある福岡も僕の一族の出身の場所でなじみも土地勘もある。今度はそこを小さな箱庭にして、世界の中での日本の今とこれからを見つめてみよう、と」

 だから語りは主人公に密着しない。俯瞰(ふかん)するような視点から蓮司の周囲の人々や光景を描く。彼に思いを寄せながら漢字を教える孤独な少女。小学校へ通わせようと奔走する交番勤務の警官。気づけば優しく声をかけてくれる異国から来た風俗店の客引きら、ネオン街の個性的な面々…。そうした愛や人情を、地から沸き上がるような「オイッサ、オイッサ」という博多祇園(ぎおん)山笠の勇壮な掛け声が包み込む。血縁やしがらみを超えて、孤独な少年を救い、もり立てる「力」がすくい上げられる。

 「親の役割を放棄する大人がいる一方で、見捨てられた子供を支えようとする人間もいる。それが、世界だと思うんですよ。本当の家族かどうかは重要ではなくて、誰もが“親”になり得る。そういう一つの希望を、中洲という小さな島の歴史や霊力、そして人々の厚い人情を通して描いてみたかった」

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