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【産経抄】9月3日

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 「初サンマ1匹7万円」。7月の新聞でこの見出しを見たとき、今年も大好物はあきらめるしかないと、観念した。釧路港などに水揚げされたサンマの初セリで、1キロ当たり50万円という、過去最高値がついたというのだ。

 ▼ここ数年、深刻な不漁が続いてきた。特に昨年の落ち込みは極端だった。海水温や潮流の変化によって、日本沿岸に近づくサンマの数が減っている。公海上での、台湾や中国の大型船による乱獲も要因の一つである。

 ▼ところが8月下旬に入ると、一転して北海道沖で漁獲が回復してきた。卸値も前年の同じ時期に比べて半値近くも安くなっている。鮮魚売り場の目玉商品にするスーパーも目立つ。小欄も先週末、たっぷりの大根おろしとともに脂の乗ったサンマの塩焼きを久しぶりに堪能した。このまま好漁が続くのを祈るばかりである。

 ▼次の日曜日、東京都品川区の目黒駅前商店街では、食欲を誘う白い煙が立ちこめているはずだ。「目黒のさんま祭り」が開催され、岩手県宮古市が提供する7千匹のサンマが無料で振る舞われる。

 ▼近くの養護老人ホームでは、祭りのきっかけとなった古典落語の「目黒のさんま」が披露される。「さんまは目黒にかぎる」と決めつけた殿様は、実在したらしい。しかも将軍である。「三代家光か、八代吉宗か定かではないが、目黒に住む百姓彦四郎なる者の茶屋で休息、さんまを食した記録があるという」(『落語食譜』矢野誠一著)。

 ▼「サンマかイワシのようなもの」。病床にあった昭和天皇は、医師から食べたいものを聞かれて、こう答えられたという。〈遠方の雲に暑(しょ)を置き青さんま〉(飯田龍太(りゅうた))。平成の次の時代も、サンマは秋の味覚の代表でいてくれるだろうか。

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