産経ニュース

【話の肖像画】歌手・俳優 ピーター(3) 性を超えた存在に反響

ライフ ライフ

記事詳細

更新

【話の肖像画】
歌手・俳優 ピーター(3) 性を超えた存在に反響

歌手・俳優のピーターさん(佐藤徳昭撮影) 歌手・俳優のピーターさん(佐藤徳昭撮影)

 マネジャーが「トイレに入るところを見られるな。お前がどっちに入るか、みんなが興味津々だ」って。写真に撮られでもしたら、女性トイレでも男性トイレでも記事になる。「トイレに行くのを我慢しろ」とまで言われました。今なら理不尽だ、と思うけれど、その時はまだ若くて、大人が言うことには「はい、わかりました」と言うしかなかった。

 取材が嫌いになったのもこの頃です。ギリシャ神話の少年のイメージで売っていたのに、「女装」と記事に書かれた。スカートなんかはいてないんですよ。女言葉だって使っていないのに、取材後の記事には「あら、わたしって○○だわ」と書かれる。それが嫌だった。女っぽい顔で写真を撮っただけで、女装して女言葉を使うことにされてしまう。彼らの求めるイメージは、実際の私とは違いました。私は男も女も飛び越えたかったんです。

 〈その後、アイドル歌手として食事や睡眠すら満足に取れない多忙な日々を送る中で、強い閉塞(へいそく)感を覚え始める〉

 CMを何本もやって、昼は営業で「ピーターショー」というのを2回やって、夜は飛び込みでキャバレーに行って…と働き詰めの毎日で、20歳くらいから、このままで良いのかと考えはじめました。

 敷かれたレールが嫌で家を飛び出してきたのに、気づいたら、新しいレールに乗っているだけ。実力のなさを痛感していたから、「歌や芸事の勉強をさせてほしい」と願っても、スケジュールがびっしりでそれもできない。体を壊したこともあり、「これはさすがに潰される」と思って、52年に事務所を辞めました。米ニューヨークに行って、美容師になるつもりだったんです。25歳でした。(聞き手 三宅令)

「ライフ」のランキング