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【明治の50冊】(26)正岡子規『歌よみに与ふる書』 心の叫びと実景、大衆短歌に道

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 牛乳搾乳業を営む自らの境遇と歌の新風を重ねた一首は、子規の論が「伝統的に上流階級のものだった短歌が大衆に開かれる」(復本さん)起爆剤になったことを物語る。その先に、口語や外来語を自在に使う現在の短歌も見えてくる。

 昭和30年刊の岩波文庫版は現在39刷と長く読み継がれる。歌論の最終回は〈先輩崇拝〉という言葉を用い、大家を無条件に崇拝する傾向を戒めている。流されず、自分で真偽を判断せよ-。底に潜むメッセージは歌論の枠を超えて響く。

 「偶像崇拝をしない、というのが子規の思い」と復本さんは言う。「現代でも『賞を取った』だけで、すぐにその人を権威として持ち上げがちですよね。日本人が持つそんな傾向に、いち早く警鐘を鳴らした。息の長い本であるゆえんかもしれません」(海老沢類)

                   

 次回は9月3日、『福翁自伝』(福澤諭吉)です。

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【プロフィル】正岡子規

 まさおか・しき 慶応3(1867)年、現在の松山市に生まれる。本名・常規(つねのり)。東大国文科中退。日本新聞社へ入社し、新聞「日本」紙上で俳句の革新運動を展開。短歌革新や写生文の提唱にも力を注いだ。脊椎カリエスによる病床生活の末、明治35(1902)年に死去。著書に『獺祭書屋俳話(だっさいしょおくはいわ)』『病牀(びょうしょう)六尺』など。

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