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【聞きたい。】片岡義男さん 『くわえ煙草とカレーライス』 楽しい偶然が生む大人の物語

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【聞きたい。】
片岡義男さん 『くわえ煙草とカレーライス』 楽しい偶然が生む大人の物語

作家、片岡義男さん 作家、片岡義男さん

 ほどよく肩の力が抜けた大人の男女が織りなす日常が7つの短編で変奏されている。どれもやわらかな日差しをたっぷり浴びたような心地良い読後感がある。

 「そう、明るい感じ。登場人物は外向的だし、男も女も上下関係はなく対等。書いていて楽しいですね」

 幼なじみとの20年ぶりの再会に始まる、楽しい偶然の連鎖。新聞社の女性記者の決意と、それを支える男…。日常の中の小さな奇跡を抑制された文章でつづった収録作を、おいしそうなカレーライスが彩る。「みんな好きでしょ。簡単に一皿で食べられるし。すごく普通の日常がそこにある」

 昭和40年代の東京を舞台にした表題作には、片岡さんの創作論を読むような面白さがある。コミックス作家に物語を提供している主人公の男性が、行きつけのバーで働いている女性と商店街でばったり出くわす。自然な流れで喫茶店で話し込み、夕食は一緒にカツカレー。この女性の所作を次の物語に活(い)かそうと頭をひねる主人公は、ふと思う。〈庶民の日常のなかを、さしたる起伏なしに流れていく時間。その時間のなかにこそ、物語がある〉。最終盤で女性が下す決断にも、何げない日常をまるごと肯定する力強さが宿る。

 「日常はつまらなくはない。単純な流れではないんですよ、時間って。かつての時間と今の時間-という2通りの時間が、男と男、男と女の偶然の『再会』によってつながる。そこにストーリーが生まれる」

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