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【明治の50冊】(25)勝海舟『氷川清話』 痛快な武勇伝、時局批判も痛烈

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【明治の50冊】
(25)勝海舟『氷川清話』 痛快な武勇伝、時局批判も痛烈

『氷川清話』の題名は、勝海舟が住んだ東京・赤坂の地名「氷川」にちなむ。平成28年にはこの地に勝(左)と坂本龍馬(右)師弟の像が建った 『氷川清話』の題名は、勝海舟が住んだ東京・赤坂の地名「氷川」にちなむ。平成28年にはこの地に勝(左)と坂本龍馬(右)師弟の像が建った

 波乱に満ちた幕末の動乱を当事者の口から聞けるのは痛快だ。ましてや語り手は、日本海軍の創始者にして、江戸城無血開城の立役者である勝海舟。維新から30年を経て、自身の来歴や人物評など縦横無尽に語った時事談話集『氷川清話(ひかわせいわ)』には、江戸っ子らしく歯にきぬ着せぬ小気味よさがあふれる。

 同作は明治25~31年ごろ、新聞や雑誌に掲載された勝の談話を吉本襄(のぼる)という人物がまとめたもの。ただ、吉本は編集時に原文をかなり書き換えており、戦後になって文芸評論家の江藤淳さんや歴史家の松浦玲さんが再編集した。

 内容をひもとくと、まず自分の昔話が語られる。貧乏だった若い頃、親切な人に書物を工面してもらい感激した話、海軍の訓練で遭難してあやうく死にかけた話、丸腰で刺客に応対した話…。いわば武勇伝なのだが、話の規模が異様に大きく、講談でも聞いているような気にさせられる。人物批評も痛快だ。西郷隆盛を「大人物」「維新元勲の筆頭」とベタ褒めするが、木戸孝允は「非常に小さい。しかし綿密な男」。坂本龍馬については「おれを殺しに来た奴(やつ)だが、なかなか人物さ」と評価している。その一方で、伊藤博文や大隈重信ら当世の政治家への評価は散々だ。

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