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【話の肖像画】小説家・真山仁(1)清濁(せいだく)併(あわ)せのむ「ハゲタカ」

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 〈後に幻の処女作といわれた『ダブルギアリング』は約3万部を売り上げ、翌年『ハゲタカ』は世に出た。主人公は外資系ファンドのマネジャー、鷲津政彦。腐った日本企業を容赦なく買いたたく「ダークヒーロー」ではあるが、人間味もある〉

 鷲津は悩みません。だからヒーローなんです。日本人は「正義」という言葉が好きですが、立ち位置によっては正反対の意味になります。個人の倫理を貫けば、場合によっては「悪」になる。清濁(せいだく)併(あわ)せのむ視点も持つべきではないかと思います。

 小説家になる前、新聞社に2年半在籍しましたが、経済は全く取材したことがありませんでした。書くためには、外資系ファンドの方を見つけなければいけません。つてを頼って誰とでも会いました。

 「私はあまり知らないので」と言われれば、その人にまた友人を紹介してもらい、数珠つなぎで取材した関係者は100人以上。講演会に押しかけて、いきなり名刺を渡したこともあります。そうして10人の核心的な人物に会うまで8カ月もかかりました。投資ファンドの「ユニゾン・キャピタル」の代表を務め、後にスカイマークの再建に尽力した佐山展生(のぶお)氏にも「ファンドの極意を指南してほしい」と訪ね、その後、大変お世話になりました。

 〈徹底した取材には、記者時代に培った経験が生きている。事実の上に虚構を紡ぐことで、迫真性に富むエンターテインメントが生まれるのだろう〉

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