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【書評】作家・川端裕人が読む 『「自然」という幻想 多自然ガーデニングによる新しい自然保護』 揺れる「保護」に議論必至

『「自然」という幻想 多自然ガーデニングによる新しい自然保護』
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 「自然保護」とは、失われつつある本来の自然を取り戻すことだと考えられてきた。しかし今、大いなる変化が起きている。例えば、オランダでは有史以前の草原を復元する計画の中で、絶滅種の代わりに、生態系の中での役割が似た「代理種」を多用した。見た目は同じ草原でも、中身は別物だ。カナダのバンクーバー島では、地球温暖化に備えて、在来動植物を管理移転する研究が進められている。当然だが、移転先でそれらは「外来種」になる。

 自然を手つかずの状態に戻したいという願いは、理論的にも実践としても困難なことが多く、現実的な対応が各地で模索された結果だという。

 なぜ困難なのか端的に言うなら、「手つかずの状態」そのものがよく分からないからだ。人類の到来以前の自然のことなのか、「近代文明の到来以前」といった歴史上の大変化の前の自然なのか。前者なら、記録はほとんど残っていないだろうし、仮にオリジナルの状態が分かったとしても、数万年前と今では気候が違う。動植物もかなり絶滅した。どう復元すればいいのか(オランダの事例)。後者なら、北米では数百年前の自然を目指すことになるが、その期間でも、実は安定して永続する平衡状態があったのか疑問視される。ましてや、今はさらなる気候変動を織り込まないといけない時代だ(バンクーバー島の事例)。

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