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【話の肖像画】史家・渡辺京二(4) 堕落した善の追求は最悪を招く

史家・渡辺京二氏
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 〈戦前、南満州鉄道会社の本社が置かれ、大陸経営の要として上海に次ぐ貿易港だった大連(現・中国遼寧省)。渡辺さんは旧制大連一中3年生-15歳の夏、終戦を迎えた。熊本への帰郷は2年後の春。疲弊する両親を4カ月早く帰国させる代わりに姉とともに最終便の引き揚げ船に乗る道を選んだ〉

 大連では空襲に遭うことはありませんでしたが、すべてを失いました。そうした敗戦時の苦難は僕らよりもう少し下の世代までは覚えています。

 いま思うのは、戦争や天災によって流浪の民になるのも、人間の運命の一部であるということです。と同時に、人間はそうした苦難から立ち直り続けてきたということをここで強調したいと思います。先の大戦では何百万もの人命が失われ、多くが焼け野原となり、終戦後はみな食うや食わずでした。その苦難を乗り越えて、いまの日本があるのです。

 え? にもかかわらず、なぜ戦後、「自虐史観」が幅をきかせてきたのか、ですって?

 自分の国の悪口を言いたがるのは日本だけでなく世界中のインテリの特徴です。自国の悪口を言うことができ、「いやそうじゃない」と強弁するのではなく、自分の国の悪いところを素直に認めることができる。それ自体は大事です。ただ、海外や別の場所に進んだモデルを求めてそれと同化し、日本の悪口を言うことによって自分が偉くなったような気になったり、喜々としていたりする態度には嫌悪感を覚えます。自分の国の悪口を言うときには苦痛の念が伴うはずなのですから…。

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