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【みうらじゅんの収集癖と発表癖】『床(とこ)のマート』で観光振興 旅館の人が「マァー!」と驚いてくれれば大成功

床のマート(みうらじゅんの収集癖と発表癖)
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 この“マート”ってやつはアートよりもっと身近なもので、難解な意図があったり高尚で、後に価値が出たりするものとは違う。

 ただ、布団を敷きに来た旅館の従業員が、「マァー!」と驚いてくれさえすればいいのである。それが“床のマート”の所以(ゆえん)。

 当然、床の間をもじったオヤジギャグではあるが、その名の如く床の間をアートステージならぬ、マートステージに替えるわけで、そのためには旅先の土産物屋でどれだけ品物(写真を見てもらえば分かると思うが、干物類が多く含まれる)を買い込むかが決め手となる。そのためにも旅は1人より2人、さらに数を増やすとマートステージは華やかになること受け合い。

 かつて、このコーナーで『勝手に観光協会』なるチーム(とは言っても主に僕と「タモリ倶楽部」のソラミミストとして有名なデザイナー、安斎肇氏)のことを紹介させて頂(いただ)いたが、この床のマートもその活動の一環だ。

 「やっぱ、シンメトリーでしょ」

 安斎さんがデザイナー的見地で言ったシンメトリー(左右対称)は、床の間を一瞬、祭壇に見せる効果がある。

 「と、なると中央にシンボルとなるものを置きたいね」

 それは時に巨大将棋の駒(山形県天童市産)であったり、和歌山県のアドベンチャーワールドで買った虎(とら)の顔(剥製仕立てヌイグルミ素材)であったり、巨大達磨(三重県伊勢市でゲット)であったりした。「うーん、置くとグッと構図が締まるね」

 その脇に、前もって「これは2つあった方がいいでしょ」と、安斎さんと土産物屋の片隅で話し合って買った品を次々と並べていくわけだけど、あくまで祭壇であるというギリギリの線で止めるのも、床のマートの妙技なのである。

 「そろそろ、夕飯に行きますか」

 完成した床のマートを部屋に残し、食堂に向かう我ら。ゆっくり食べるのは布団敷きの時間とかち合わないためだ。「きっと今頃、例の“マァー!”が出てるんじゃない?」

 部屋に戻ると何事もなかったように布団が敷き詰められている。祭壇から溢(あふ)れた品を避けるように敷いてあることもあり、床のマートへの配慮と受け取った。展示はそれまで。各自、土産物をカバンに詰め込むわけだけど毎度、買い過ぎを後悔する。しかし、それは少しでも街の活性化に繋(つな)がればいいと願ってる我々がいるということ。それだけは分かって頂きたい。(作家、イラストレーター)

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