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【主張】東京医大「調査」 疑惑残さず悪慣行を絶て

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【主張】
東京医大「調査」 疑惑残さず悪慣行を絶て

 私大助成をめぐる汚職事件にからみ、東京医科大が内部調査結果を公表し、入試不正を認めた。前理事長の主導で一部の受験生への加点を繰り返し、女子と3浪以上の合格者を減らすよう得点操作を行っていた。

 これが長年にわたり、「伝統」のように行われていたというからあきれるが、改めてこの悪(あ)しき構図に文部科学省の前局長が介在したことを忘れてはならない。

 文科省は同大の不正や疑惑を徹底的に正し、自らも厳しく戒める必要がある。

 大学から依頼を受けた弁護士による内部調査で、文科省の前局長の息子以外にも不正入試の数々が明らかになった。

 今年の入試の1次試験で前局長の息子を含む6人、昨年の入試でも13人が不正に加点されていた。最大49点もの大幅加点もあり、これが命をあずかる医師を養成する大学なのか、あぜんとする。

 驚くのは小論文などの2次試験の得点操作で、女子と、3、4浪の男子は実質減点で不利にされていたことだ。女性医師は出産や育児などで休むことが多く、長時間勤務が難しいなどとして入学者を減らしたかったようだが、理由にならない。ならば働きやすいようにするのが当然だ。

 多浪生は入学後の成績の伸びが期待できないなどというのも、思い込みではないのか。患者にとって医師は、豊かな社会経験を持つ人材が望まれている。

 こうした得点操作は前理事長と前学長が相談し、入試担当者に指示していたとみられる。調査を急いだ時間的制約などから一昨年以前の不正は具体的に明らかにされなかったが、長年続いていた可能性も指摘した。

 裏口入学にからみ前理事長らが金銭の謝礼を受けていた疑いもあり、現時点では徹底究明に程遠い。継続調査を大学側に任せておいていいのか。

 内部調査は入試不正について「受験生だけでなく、社会全般を欺くものだ」と指摘した。これを受けて記者会見した同大の常務理事は得点操作に「愕然(がくぜん)とする」と述べたが、不正を野放しにした学内体制こそ問題である。

 同大では過去にもOB子弟などの裏口疑惑が指摘され、今回の不正と「同根」ともされる。不正の土壌を根絶しない限り、また繰り返されるだろう。

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