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【書評】ノンフィクションライター・瀬戸内みなみが読む 『百年の女 『婦人公論』が見た大正、昭和、平成』酒井順子著 服従する嫁の育て方から草食男子まで

『百年の女 『婦人公論』が見た大正、昭和、平成』酒井順子著
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 大正5(1916)年に創刊し、一昨年百周年を迎えた雑誌『婦人公論』のバックナンバー1400冊余を読み、時代ごとの悩み、性、権利の希求とその実現など、日本の女性を取り巻く状況と意識を丁寧に描き出した本である。

 読みながら何度も既視感を覚えた。この百年といえば、昭和40年代生まれの著者や評者の世代には、祖母からの女3代に重なる。遠くはあるがまだまだ記憶に生き生きと刻まれた、生身の歴史だ。

 その間には関東大震災、先の大戦、東京五輪、高度経済成長とバブル、そして東日本大震災…と数々の節目、人では平塚らいてう、与謝野晶子に始まり、野上弥生子や有吉佐和子、三島由紀夫、美輪明宏ら、そして時代を彩ったブーム、風俗ものぞく。

 創刊当初の特集は「大正新女大学」=よく服従する嫁を育てるためのマニュアルだった。だが、女性の参政権獲得をはさみ昭和30年代には「男性飼育法」が特集され、現代までに日本男児が中性化・草食化していく過程は戯画的でさえある。しみじみ隔世の感を覚えざるを得ない。

 常識がいつ非常識になるか分からない、という不安も感じるが、それでも本書が心地良いのは、著者の筆致が淡々としてときにユーモラスだから。大正生まれの吉行淳之介らがいう「女性は殴られると喜ぶ」説なども「驚くような発言」と柔らかくかわし、右翼、左翼と目される論者どちらの発言も冷静に扱う。「歴史」に向き合うときに必要な謙虚さなのかもしれない。

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