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【海峡を越えて 「朝のくに」ものがたり】(29)清楚たる風姿の妓生 「朝鮮旅行案内記」をたどる

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【海峡を越えて 「朝のくに」ものがたり】
(29)清楚たる風姿の妓生 「朝鮮旅行案内記」をたどる

「朝鮮旅行案内記」に掲載されている妓生の写真 「朝鮮旅行案内記」に掲載されている妓生の写真

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 前回、紹介した朝鮮総督府鉄道局(鮮鉄)の元技術者、横山左武郎(さぶろう)(1917~43年)の遺品の中に、昭和9年鮮鉄発行の『朝鮮旅行案内記』がある。当時の観光ガイドブックだ。

 日本が統治時代の朝鮮に敷いた鉄道網は終戦までに5千キロ以上。同書では京釜線、京義線など沿線別に詳細な観光ガイドが写真と文で書かれている。巻頭に、《本案内記は朝鮮を旅行される方々に朝鮮の概念を得て戴(いただ)く…》とあるように単なる観光ガイドにとどまらず、記述は朝鮮の風俗や文化、政治、歴史におよびなかなか興味深い。

 同書の発行は、日本に「大陸ブーム」が起き、新天地への夢を描いた移住者や観光客が内地から続々と「海峡を越えて」行ったころ。横山もその一人だった。同書は、彼らの必読書だったのだろう。

 ◆モデルコースは7日間

 同書には当時の、朝鮮旅行のモデルコースがいくつか紹介されている。標準的なプランは「朝鮮廻覧(かいらん)7日間」。下関(山口)と朝鮮の釜山を結ぶ関釜連絡船から鮮鉄・満鉄を乗り継ぐルートだ。その行程と見どころを同書から追ってみよう。

 【1日目】関釜連絡船で朝、釜山着。鮮鉄・京釜線に乗り、一路、京城へ。朝8時発の急行「のぞみ」なら所要時間は、8時間45分だ。その日は京城泊。鮮鉄直営の朝鮮ホテルは、客室数80あまりで食堂、酒場、演芸室完備。1泊3食付きで9円以上だが、内地と比べて「頗(すこぶ)る低廉」とあった。日本式の旅館、朝鮮式の宿ならさらに格安。

 【2日目】京城市内見物。朝鮮の政治、経済、文化の中心地・京城の見どころは盛りだくさんだ。李朝の旧王宮・景福宮、徳寿宮、南大門。京城の表玄関・京城駅は、ルネサンス式建築で1日の乗降客は約1万人。“京城の銀座”本町通には、三越、丁子屋、三中井の百貨店が立ち並び、昼食は、そこの食堂を使うのも「便利」とある。

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