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【産経抄】7月25日

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 熱中症という言葉は、明治時代から知られていた。「気温ノ直接作用ニ起因スル疾病ハ日射病及熱中症是ナリ」。森林太郎(鴎外)が明治30年に共著した『衛生新篇』の中に記載がある。もっとも、当時の日本人は40度を超える猛烈な暑さを知らないはずだ。

 ▼総務省消防庁によると、今月16日から22日までの1週間で、熱中症のために搬送された人は2万人を超えた。死者も65人にのぼった。予防策として何より頼りになるのは、鴎外の時代にはなかったエアコンである。

 ▼気象エッセイストの倉嶋厚さんは、連合軍の占領下の時代に室内冷房の存在を知った。中央気象台(現・気象庁)の建物のなかに米軍の気象隊の部屋があり、そこだけにエアコンが付いていた。下士官は夜な夜な街の女性を呼び込んでいたそうだ。

 ▼贅沢(ぜいたく)品だったエアコンが、乗用車やカラーテレビとともに一般家庭に普及するようになったのは、「昭和元禄」といわれた昭和43年からだ。46年からはエアコン使用のために、消費電力が真夏にピークを迎えるようになった(『日本の空をみつめて』)。

 ▼わが家でも連日フル稼働である。今月の電気料金が思いやられる。それ以上に、このまま厳しい暑さが続けば電力が足りなくならないか、心配である。関西電力は先週、電力需給が逼迫(ひっぱく)して、他の大手電力に緊急の電力融通を要請した。関電では高浜原発4号機の定期検査が9月まで予定されている。来月3日からは3号機も定期検査に入るというから、まだまだピンチは続く。

 ▼今月はじめに政府が閣議決定したエネルギー基本計画は、原発の建て替えには触れていない。今後増設なしで、夏を乗り切れるのか。猛暑と闘いつつ、エネルギーについても真剣に考えたい。

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