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第159回芥川賞・直木賞 高橋弘希さん「送り火」…フィクションの醍醐味示す 島本理生さん「ファーストラヴ」…抑制利いた文章力が決め手

芥川賞に決まった「送り火」の高橋弘希さん(右)と「ファーストラヴ」で直木賞に決まった島本理生さん =18日午後、東京都千代田区の帝国ホテル(桐山弘太撮影)
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 18日に発表された第159回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)は、芥川賞が高橋弘希(ひろき)さん(38)の「送り火」(文学界5月号)に、直木賞は島本理生(りお)さん(35)の『ファーストラヴ』(文芸春秋)に決まった。同日夜に東京・築地の料亭「新喜楽」で行われた選考会の経緯と講評を紹介する。

 ≪芥川賞≫

 □高橋弘希さん「送り火」

 ■フィクションの醍醐味示す

 芥川賞は2時間弱の選考をへて、高橋弘希さんの「送り火」が選ばれた。選考委員を代表して会見した島田雅彦さん(57)によると、最初の投票で同作と町屋良平さん(35)の「しき」(文芸夏号)の2作に絞られた。その後の協議の結果、最初の投票で過半数を得た高橋さんに決まった。

 受賞作の舞台は青森・津軽地方の中学校。東京からの転入生と地元の少年グループが織りなす日常が失われ、暴力がむき出しになる瞬間を印象的に描いた。選考委員からは「一つ一つの言葉にコストをかけていることがありありと伝わる。言葉を使って別世界を構築していくという、フィクション本来の醍醐味(だいごみ)を十分に示してくれる快作」と高く評価された。

 次点の町屋作品は、夜の公園でダンスの練習に打ち込む男子高校生を中心とした青春小説。「多彩な登場人物に対する、語り手の距離感の取り方が絶妙」などと評価する声が多かったものの、同時受賞を決める投票で過半数を取ることができず、「0・5ポイント足りず、残念な結果になった」と振り返った。

 残る3作品のうち、大学の女子野球部を舞台にした古谷田(こやた)奈月さん(36)の「風下の朱(あか)」(早稲田文学初夏号)は「ストーリー展開が計算された作品。テーマ設定も明確だが、スポーツ小説としては物足りず、人物配置なども一歩踏み込みが足りない」とされ脱落。浮気がばれた劇作家を主人公に据えた松尾スズキさん(55)の「もう『はい』としか言えない」(文学界3月号)も「エンターテインメントとしては面白い作品だが、予定調和的な感も否めない」として受賞を逃した。

 東日本大震災を題材にし、既刊本との類似表現や参考文献の不掲載が問題になった北条裕子(ゆうこ)さん(32)の「美しい顔」(群像6月号)については、「『盗用』には当たらない」としつつ、「参照、引用した者の態度、誠実さが問題になる」と指摘。「自分なりの表現に昇華していく努力が足りなかった」と評され、伸び悩んだ。(本間英士)

                   

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