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【話の肖像画】映画監督ヤン・ヨンヒ(5) 嫌いだった母が明かした真実

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【話の肖像画】
映画監督ヤン・ヨンヒ(5) 嫌いだった母が明かした真実

ヤン・ヨンヒさん(斎藤良雄撮影) ヤン・ヨンヒさん(斎藤良雄撮影)

 〈2005年に韓国の釜山国際映画祭で初上映されたドキュメンタリー「ディア・ピョンヤン」は評判を呼び、世界三大映画祭のひとつ、ベルリン国際映画祭にも招かれた。2作目以降も世界各地の映画祭で大きな反響を残す〉

 「ディア~」の反応は面白かった。作品に登場した私の父親について、キューバ人もロシア人も肌が白い人も黒い人もみんな、口をそろえて「私の父ちゃんそっくりだ」と言ってくるんです。「うちも『同じ国出身の人間と結婚しろ』とうるさいんだ」とか。発表前はこんな極東の、「民団・総連」だの「帰国事業」だの、込み入った事情の家族の話を理解してもらえるのかな、と不安でした。でも、具体的な歴史を知らなくても、どこかで共感できる部分があり、観客は泣いたり笑ったりする。「普遍」というものを体で感じました。

 兄の娘を題材にした2作目「愛しきソナ」の上映で、印象に残っている言葉があります。「ありがとう、あなたのおかげで、ノースコリアに知り合いができた」。ドイツ人の観客でした。「金正日(キム・ジョンイル)のニュースを見るたびに、これからはソナのことを思い出す。知り合いがいるところには、平和であってほしいと思うんだ」

 ドキュメンタリー監督は「お見合いおばさん」みたいなものかもしれません。決して交わるはずのなかった、うちの父ちゃんやめいっ子と海外の人を引き合わせるのだから。

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