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ミルチャ・カントル展 不確かな社会と個の存在

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ミルチャ・カントル展 不確かな社会と個の存在

ミルチャ・カントルと、自らの指紋で有刺鉄線を思わせるドローイングを描いたガラスの屏風「呼吸を分かつもの」(部分)、2018年 Photo:?Nac?sa & Partners Inc./Courtesy of Fondation d’entreprise Herm?s. ミルチャ・カントルと、自らの指紋で有刺鉄線を思わせるドローイングを描いたガラスの屏風「呼吸を分かつもの」(部分)、2018年 Photo:?Nac?sa & Partners Inc./Courtesy of Fondation d’entreprise Herm?s.

 「いま社会で何が起こっているのか、アーティストは目をそらしてはならない。それを単純に表現するのではなく、違うレベルに昇華させなければならない」。ルーマニア出身、パリを拠点に国際的に活躍するアーティスト、ミルチャ・カントルはこう話す。東京の銀座メゾンエルメスフォーラムで開催中の個展「あなたの存在に対する形容詞」では、「透明性」をキーワードに、社会における「個」の存在意義を静かに問いかける。(黒沢綾子)

                   

 個展の表題でもあるビデオ作品が映し出すのは、ちょっと異様な光景。透明のプラカードを掲げる人々が東京の街-都庁や市場、神社、大学など-に出没し、黙々とデモ行進する。ボランティアの出演協力を得て撮影した新作だ。

 「初めて(会場の)メゾンエルメスを訪れた際、透明なガラスブロック越しの光に圧倒された」とカントル。「同時に、近年私が考えている『透明性』について、視覚的に翻訳した作品を作ろうと思ったのです」

 透明であることは何もかも明らかな状態を思い浮かべるが、カントルは「むしろ不確かさを感じる」と言う。自分たちをしばる規則や慣習、権力など“透明な力”がいかに不確かなものなのか。1977年生まれの彼はチャウシェスク政権を打倒したルーマニア革命(89年)前の、幼少期の記憶をたどる。

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