産経ニュース

芥川賞候補作「美しい顔」、既刊本と一部記述が類似 震災への向き合い方と表現のあり方問う

ライフ ライフ

記事詳細

更新


芥川賞候補作「美しい顔」、既刊本と一部記述が類似 震災への向き合い方と表現のあり方問う

「美しい顔」の記述と参考文献の類似例 「美しい顔」の記述と参考文献の類似例

 早稲田大の石原千秋教授(日本近代文学)は「参考文献への配慮が不足していたのは事実」としながらも、「震災の衝撃で書けなくなる人もいた中、被災地に行かなかったからこそ書けた部分もあり、これで作品そのものの価値が下がることはない。作品はある意味で『引用の織物』。もし他の作品に似てはいけないと言うなら、原理的に芸術は成り立たず、息苦しいものになってしまう」と話す。

 講談社は「(参考文献不掲載などの)問題を含んだ上でも、作品の価値が損なわれることはない」として、「美しい顔」の全文を公式サイトで無料公開。芥川賞を主催する日本文学振興会は「候補作に変更はない」としており、18日に選考会が開かれる。

 ■北条裕子さん「心からおわび」

 「美しい顔」の作者、北条裕子さんは9日、講談社を通じてコメントを発表し、「心からおわび申し上げます」と謝罪した。

 北条さんによると、当初は参考文献の一覧を小説の末尾に掲載したいと考えていたという。ただ、「単行本を刊行できるようなことがあれば、その時にそれをすればよい」と思い込んでいたといい、「私の過失であり甘えでした」と振り返る。

 その上で、北条さんは「参考文献の著者・編者、現地の取材対象者の方々に、敬意と感謝の気持ちを伝えるどころか、とても不快な思いをさせてしまうことになりました。大変至らなかったと反省しております。参考文献への扱いへの配慮を欠いたことも猛省しております」と陳謝した。

「ライフ」のランキング