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【海峡を越えて 「朝のくに」ものがたり】(25)日本の官憲に朝鮮語奨励 国境警察隊の8割は日本語理解せず

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【海峡を越えて 「朝のくに」ものがたり】
(25)日本の官憲に朝鮮語奨励 国境警察隊の8割は日本語理解せず

朝鮮の国境警察隊。朝鮮語が不可欠だった 朝鮮の国境警察隊。朝鮮語が不可欠だった

 だから、他民族統治の中で国語政策についても強圧的なやり方がなかった、というつもりはないが、一方で、多くの朝鮮人が「日本語を求めた」側面を見逃すべきではない。日本語を身につけることは、教育を受けたり、仕事を得たりするのに有利になったし、“同じ日本人”としての意識も次第に高まっていたからだ。

 先の陸軍特別志願兵には、初等教育で、日本語を学んだ農村出身者らが多かった。昭和17年には、採用予定人数4500人に対し、志願者が約25万人、18年は、採用予定約5300人に対し、30万人以上の志願者が殺到した。すさまじい人気ぶりである。

 批判する側がいう「皇民化政策の影響」だけで、ここまで高倍率になったであろうか? やはり朝鮮人の日本への同化が進み、「ともに戦う」という意識の高揚が、この数字につながったのではないか。

 『前進する朝鮮』(17年、朝鮮総督府情報課編)に、当時の朝鮮人の日本語学習熱についての記述がある。《今日では、すでに国語(日本語)の習得は朝鮮人にとっても国民常識であり…正規の教育機関ばかりでなく、各村落に設けられた短期の国語講習所等(とう)には50、60歳の老翁、あるいは30、40歳の主婦たちの子どもをおんぶした手習い姿も見られて…》と。

 批判する側は、この国語講習所についても、「そこまでして日本語を強要した証拠ではないか」と主張する。では、終戦当時旧制中学3年生の朝鮮人少年だった男性(88)の証言を聞いてみたい。

 「朝鮮ではますます、日本語の使用が広まり、朝鮮語の書物や朝鮮語の新聞の購読者が減少していった。満州(現中国東北部)へ進出した朝鮮人たちも可能な限り、(有利になるように)日本人のふりをしていた。もちろん、朝鮮人の日本化を促進させるための総督府の政策も、そこにはあった。だから、日本語の普及・朝鮮語の教育の退潮は、政策面と(日本語を身につけたい)需要面の両面によって進んだのです」

 公平で率直な見方だと思うが、どうだろう。=敬称略、土曜掲載(文化部編集委員 喜多由浩)

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