PR

ライフ ライフ

【エッシャーと私】(5)哲学的な不条理世界に興味津々 数学者 杉原厚吉・明治大教授

Messenger

 「空と水I」「昼と夜」に代表される図と地が入れ替わる不思議なタイリングアートや、「上昇と下降」「滝」に代表されるだまし絵を素材にしたおしゃれで哲学的な版画などに、子供のころから惹(ひ)かれていました。コンピュータービジョンの研究の中でだまし絵が立体として作れることを見つけてからは、エッシャーの作品の裏に潜む数学構造に興味が広がり、「空と水」風の図地反転錯視アートを自動生成するプログラムを作ったり、「滝」に描かれている水が水路を上る動きを錯視で作ったりと、錯視アートの創作にたくさんのヒントをもらっています。

 エッシャーの魅力の一つは、細部まで丁寧に描写したリアルな表現によって、不可能立体と呼ばれるあり得ない世界があたかも目の前にあるかのような錯覚を起こさせてくれることでしょう。描写のリアルさにだまされて、構造の不可能性を見落としてしまうこともあります。どこにどんな不可能性が潜んでいるかを一つも見逃さないように見つけ出そうとするあまり、一つの作品の前にずいぶん長い時間立ちっぱなしになっている自分に驚くこともあります。後期の作品がもつ哲学的な不条理世界の魅力は、何度見ても飽きることはありません。(おわり)

                  ◇

 「ミラクル エッシャー展」は7月29日まで、上野の森美術館(東京都台東区)。会期中無休。問い合わせは(電)03・5777・8600。

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ