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【暮らし替えの道しるべ】(12)父から受け継いだもの

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 昨年父が他界し、遺品の中からたくさんの日記が出てきました。そこには、日常の出来事が父のきちょうめんな文字でつづられていました。

 父は16歳で、満蒙開拓青少年義勇軍に入り満州国の開拓民となりました。終戦後4年たってから帰国し小さな鉄工所を始めました。大きなプレス機械の音や鉄板の油の臭いがする中で、毎日遅くまで働きながら私たちを育ててくれました。

 遺品の日記は、父が亡くなるまでの90年間、私の知らない父の長い人生を改めて見つめる機会を与えてくれました。そんな筆まめな父が新聞に投稿した文章が掲載されたことがあり、私が実家に帰るたびに自慢そうに私に見せてくれたことが今でも目に浮かびます。今こうしてコラムを書いているのも、そのDNAが私の中に生きているからなのかもしれません。

 風邪をひいた幼い私を父が自転車の後ろに乗せて、病院に連れて行ってくれたとき、作業着の油の臭いがする大きな背中に熱のある顔をうずめながら安心感に包まれたことが私の中に鮮明に残っています。思い出はモノだけではありません。臭いや感触もその時の情景とその時の感情とともに蘇(よみがえ)ってくるものです。

 私と同じように、亡くなった後に日記が見つかった場合には、誰かに読まれてしまうと考えたほうが良いでしょう。

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