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【産経抄】6月15日

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【産経抄】
6月15日

 かつて医師に往診を頼むことを「医者を揚げる」と言ったそうだ。「芸者を揚げる」くらいの散財だというのだ。体の不調に気づいても我慢して、手遅れになってから、家族が死亡診断書を書いてもらうために医師を呼ぶ。日本国民の約3分の1が、無保険者だった時代の話である。

 ▼農業従事者や自営業者、零細企業の従業員も加入できる国民健康保険が昭和36年に全国で制度化されて、現在の「国民皆保険」の仕組みができあがった。誰でも少ない負担で、高度な医療を受けられる。日本が誇る制度が、いま大変なことになっている。

 ▼外国人による不当利用の実態に迫った、最近の『週刊現代』の特集記事には驚いた。まず日本の病院で脳動脈瘤(りゅう)の手術を受けた70代の中国人患者の例が紹介される。本来なら治療費は200万円近くかかる。

 ▼ところが健康保険証を持っていたので、高額療養費制度も使って、8万円ほどの自己負担ですんだ。ほんのわずかな保険料で、国保に加入する方法はいくつもある。たとえば3カ月以上の在留資格を有する「留学ビザ」で、入国するだけでいい。「偽装留学」かどうか、見抜くのは不可能だ。

 ▼子供が生まれた際、申請すれば42万円が支給される「出産育児一時金」の制度も狙われている。国保や社保に加入していれば、外国人が海外で出産しても、受け取れる。不正受給はないのか。厚生労働省が月内にも調査を始めると、昨日の小紙が伝えていた。

 ▼ただでさえ超高齢社会で医療費がかさむ一方である。担い手となる働き盛りの人口は減っていく。「国民皆保険の崩壊」、つまり「医者を揚げる」時代に後戻りする可能性さえ出てきた。外国人に優しすぎる「国民健康保険」の見直しは急務である。

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