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【本郷和人の日本史ナナメ読み】大隈重信の不遇(下)西郷どんと信長の意外な共通点

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【本郷和人の日本史ナナメ読み】
大隈重信の不遇(下)西郷どんと信長の意外な共通点

早稲田大学の大隈講堂と大隈重信像=東京都新宿区(桐山弘太撮影) 早稲田大学の大隈講堂と大隈重信像=東京都新宿区(桐山弘太撮影)

 ただし、おそらく西郷のような価値判断を持っていた人というのは、ああいう激動期には少なくなかったに違いありません。武士道というは死ぬことと見つけたり(『葉隠』)なんて言葉もありますし。武士という連中は、すぐに切腹だなんだと騒ぎ出す物騒な人たちなのです。あ、そういえば『葉隠』の山本常朝は、大隈と同じく、肥前藩士でしたね。

 西郷と価値観を共有したに違いない人物といえば、何といっても織田信長だろうと思います。信長は女性と同じく、男性も性愛の対象としました。ところがここが信長らしいところなのですが、ただイケメンなだけでは、信長の愛は獲得できなかった。優秀でなければダメだったのです。前田利家、堀秀政、長谷川秀一、森蘭丸。信長の男色相手は、いってみれば織田政権の幹部候補生でした。

 じゃあ、信長はかわいがっていた彼らを大事に大事に育成したかというと、これがさにあらず。ぼくは体育会系ではなく文化系なんです、武官よりも文官としての才能が、とかそういうのは関係なく、ともかく戦闘にほうり込むわけです。戦場に連れて行って、どんどん戦いに参加させる。そうすると、実際の合戦では何が起こるか分かりませんから、全体では織田の勝ち戦であっても、運悪く討ち死に、なんてこともある。実際に森蘭丸の前任者、蘭丸以上に愛されていた万見(まんみ)仙千代(重元)なんかは、荒木村重を討伐する戦いで戦死してしまった。これなんて、犬死にも良いところです。

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