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見つめ直す「距離」 近くへの遠回り 日本・キューバ現代美術展

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見つめ直す「距離」 近くへの遠回り 日本・キューバ現代美術展

建築現場の足場を思わせる持田敦子の作品は存在感があり場の雰囲気を一変させている 建築現場の足場を思わせる持田敦子の作品は存在感があり場の雰囲気を一変させている

 現代キューバの一面を鮮やかに提示するのがレアンドロ・フェアル(32)の写真を使った映像作品「Hotel Roma」。舞台はホテルではなく、芸術家や知識人らが夜ごと集うハバナにある有名なバーで、作者はその日常を記録した。哀愁的なキューバ音楽が流れる中で同性、異性にかかわらず、愛し合う姿が次々と現れる。

 キューバといえば、シュールレアリスムの画家としてフランスで活躍したウィフレド・ラム(1902~82年)やネルソン・ドミンゲス(70)らのように土着の美術とさまざまな宗教モチーフを組み合わせたクレオール(混交)的な絵画を連想しがちだが、現代アーティストは表現スタイルにしても欧米作家と変わりない。

 また、同展のテーマは「距離」。インターネットの進歩で情報が瞬時に伝わり、世界の国々がより身近に感じられる時代だが、現実はどうだろうか。キューバに滞在し、素材を現地調達して作品を制作したのが持田敦子(29)だ。これまで日常空間や公共空間の中に工事用の足場などの構造物を設置し、一時的に空間の意味を変化させる作品を発表。ハバナでも、既存の建物に階段を架ける作品を手掛けた。現地の建築関係者との協働で高さ6メートルの階段をラムセンターの裏庭に完成させ、場の空気を一変させた。ただ、当初計画では12メートル。調査に3週間、制作には1カ月を費やしたが、材料が思うように集まらず計画通りの高さにはならなかったためだ。一方、日本の会場では、たったの一晩で計画通りの作品が完成。対照的な制作過程に、両国経済の“距離”を実感させられた。17日まで、無料。

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