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【正論】海洋の危機に国際的統合機関を 日本財団会長・笹川陽平

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【正論】
海洋の危機に国際的統合機関を 日本財団会長・笹川陽平

日本財団の笹川陽平会長(栗橋隆悦撮影) 日本財団の笹川陽平会長(栗橋隆悦撮影)

 ようやく取り組みが始まった形だが、一方で途上国を中心に現在も年間800万トンを超すプラスチックごみが海に流れ込んでおり、持続可能な海を保つために一刻の猶予も許されない状況にある。

 漁業資源も然りだ。この半世紀で世界の人口、1人当たりの魚介類消費量とも2倍以上伸び、結果、世界の魚介類消費量は50年前の5倍に膨らんだ。世界人口は60年には100億人に達すると推計され、魚介類の消費量は途上国を中心にさらに増える。

 ≪ばらばらで実効性乏しい組織≫

 世界の海洋生物はこの40年間で50%も減少したといわれ、国連食糧農業機関(FAO)によると、わが国の周辺海域を含む北西太平洋海域では既に24%の魚介類が生物学的に持続不可能な状態となっている。資源の減少が高値を呼び、違法操業が増える悪循環も深刻化している。

 温暖化に伴う海面上昇も深刻である。太平洋の島嶼(とうしょ)国キリバス共和国では水没の危機が叫ばれ、キリバス政府は将来の国民の海外移住を視野に、同じ島嶼国のフィジーに広大な農地を購入している。現在のペースで温暖化が続くと今世紀末までに海面が約1メートル上昇するとの研究報告もある。

 1994年に発効し、現在、世界168カ国・地域が批准する海の憲法・国連海洋法条約は、海の3分の2を占める公海を「人類の共同財産」としている。しかし、新たに発見された海洋資源をめぐり各国の利害が衝突し、どう管理していくか、有効な知恵はいまだに出されていない。

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