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【正論】医者が多いと病気も増えるのか 学習院大学教授・伊藤元重

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【正論】
医者が多いと病気も増えるのか 学習院大学教授・伊藤元重

伊東元重・学習院大学教授(野村成次撮影) 伊東元重・学習院大学教授(野村成次撮影)

 地域の医療費がどれだけなのか、その地域差は私たち国民には分かりにくい。高知県の医療費は全国有数に高いといわれても、高知の人にはその意味が分かりにくいだろう。医療費が増えれば、その費用負担は最終的には全国民の負担に加算されることになる。日本の医療全体のことを考えたら、数が極端に多い西日本の地域の病床数を減らすべきだろう。

 ≪どうやって過剰病床を減らすか

 もともと諸外国に比べて日本の病床数は多いといわれているので、病床削減によって大きな問題が起きるわけではない。病床数を調整することが、日本の医療費の膨張を防ぐ、もっとも有効な手段であると指摘する専門家もいる。

 問題は、どうやって過剰な病床を削減するのかということだ。これに関して、筆者は10年近く前、スウェーデンで面白い光景に出合った。その日、ストックホルムの郊外のある病院に来ていた。私たちを案内してくれた病院の事務局の人は、「今日は私たち病院にとって運命の日」だと言っていた。その日、この地域にあるいくつかの病院の中でどれがスーパーホスピタルに選ばれるのかが県によって決定されるのだそうだ。

 スーパーホスピタルに選ばれれば、いろいろな先端医療もできる。しかしもし選ばれなければ、病院の機能を縮小することになるのだ。高齢化が進む中で、急性期の病院の数を少数精鋭にして、介護や慢性治療の施設を増やすことが求められている。これはスウェーデンも日本も同じだ。

 スウェーデンは多くの病院が公立であるので、県の判断によってトップダウンで病床や病院の拡大・縮小・再編を進めることができる。上から決められる現場の病院は対応が大変ではあるだろうが、社会全体の病床の再編を迅速に進めていくためにはそうした調整は有効である。

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