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【話の肖像画】ノンフィクション作家・沖藤典子(2) 夫の改姓が負い目に

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 民法750条では、夫婦は夫または妻の氏を称するとなっています。どちらの姓でもいいので、うちでは妻の姓にしただけです。私の両親と夫が養子縁組をしたわけではありません。

 ところが結婚披露宴の当日、酔った夫の恩師が家族の控室に乗り込んできて、こう怒鳴ったのです。

 「それでも男か、長男のくせに養子に行くとは何ごとか」

 夫は泣き、私も父も、みんな泣きました。夫が改姓したことは、結婚生活にずっと暗い影を落としました。私はことあるごとに「夫に改姓してもらったのだから」と負い目に感じるようになったのです。

 終戦で、法律が新しくなりました。男性が妻の姓にするケースもどんどん出てくると思っていました。よもや、今の時代でも妻の姓にしているケースが4%しかないなんて。

 夫はその後の会社員生活でも、妻の姓にしたことでいろいろ言われたようです。結婚するとき、私はそんな事態はまったく想像していませんでした。

 〈大学4年で長女を出産。両親は札幌市内に同居する家を用意した。自身も北海道で親と暮らしながら働き、子育てする生活を思い描いていた〉

 夫が大学院を修了すると、東京の会社に就職を決めてきたのです。ずっと親孝行を考えてきた私は驚き、夫を責めました。

 でも、私には夫に負い目がありました。「改姓してくれたのだから…」。こうして、泣く泣く上京しました。(聞き手 小川記代子)

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