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【書評】作家・大竹昭子氏が読む『庭』(小山田浩子著) 凝視が異界を立ち上げる

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 同じ敷地内にいる親たちはもはや「睨(にら)むように目を凝(こ)らさねば」見えない。遠のいていく大人の世界と、接近してくる自然界。ふたつを視線が橋渡し、どちらの世界にも過剰なほどのエネルギーが横溢(おういつ)している。

 アナーキーさや過剰さは生命の特性であり、さんざめく力を収まりよくまとめるために社会が存在する。そこでわれわれは生命の過剰さを見ないよう、ヒトの実体を追究しすぎないよう振る舞うすべを学ぶ。

 だがひとたびそのルールを破って凝視のモードに入ると、世界の意味はばらばらにほどけて異次元に突入する。異界は日常世界のほんのすぐ隣にあって、そこに行くには視線をひとつ変えるだけでいいのだ。この事実は怪談よりもずっとこわい。(新潮社・1700円+税)

 評・大竹昭子(作家)

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