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川上未映子さん短編集「ウィステリアと三人の女たち」性差超えた「人間らしさ」

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 同窓会に参加した女優に去来する同級生との秘めたる記憶。大金を手にしてデパートに通う40代の女性と裕福な老女との不器用なやりとり…。ほかの収録作でも女性たちの関係が繊細に描かれ、社会的属性を超えた人間の心の深層が浮かんでくる。

 「『異性愛』というコードの下で男性であり女性であることを演じるときよりも、同性同士でいるときにジェンダー(社会的性差)を超えた、その人の『人間らしさ』がぱっと出る瞬間がある気がする。人間の魂だったり、すごく張り詰めた緊張状態だったりを書きたい。そう思うときに異性愛を外すのは私の方法なのかもしれない」

 書いて追体験

 昨年は、愛読する村上春樹さんへのインタビュー集を出版。責任編集を手がけた文芸誌『早稲田文学増刊 女性号』も評判を呼んだ。活動の幅を広げる一方で、時事的なエッセーの執筆は最近控え気味。「自分の意見や感情を時々に言語化せずに、もっと掘りこんでいこう」と思うようになったからだ。出口を小説に絞ることで、少し変化が出てきたとも感じている。

 「登場人物の女性が何を思うか、に任せて書き進め彼女の体験を私も追体験していく感じ。新しいフォームです。『こんなことを考えていて、これを書く』とやってきたこれまでよりもしんどい体験でしたね」。一気に話すと、相好を崩した。「次はまた、まったく違う文体で、一番長い話を書くつもりです」

                  

【プロフィル】川上未映子

 かわかみ・みえこ 昭和51年、大阪府生まれ。平成20年に「乳と卵」で芥川賞。21年に詩集『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』で中原中也賞、22年に『ヘヴン』で芸術選奨文部科学大臣新人賞などを受賞。25年に『愛の夢とか』で谷崎潤一郎賞。ほかの著書に『あこがれ』(渡辺淳一文学賞)など。

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