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【話の肖像画】ミュージシャン・小室等(4)陽水、拓郎、泉谷と“冒険”へ

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 レコード会社に支配されず、自分たちの会社を立ち上げ、思いのままにレコーディングをしてみたいという夢を拓郎さんに話したんです。拓郎さんは所属レコード会社のドル箱だったから期待はしていませんでした。だけど「陽水さんが一緒なら、やってもいい」と言うんです。

 とはいえ、陽水さんもアルバム「氷の世界」が100万枚突破の金字塔を打ち立てており、レコード会社を離れるはずがない。ところが、陽水さんの答えも「やらないわけでもない」というものでした。

 そこで3人で東京・原宿あたりのバーで話し合ったのですが、「何かが足りない」と。議論するうちに「足りないのは“乱暴者”の要素だ」と気づき、全員一致で「泉谷しげるさんしかいない」という結論に達しました。彼は観客は罵倒するし、物事を穏便には済まさない。そんな人物がいたほうがかき回されて面白くなると思ったんです。陽水さんも「冒険がしたい」と言っていましたしね。

 〈社長を決めるときはアーティストとマネジャー4人を合わせた8人で投票が行われた〉

 全員一致で僕が社長をやることになった。その後のすべての企画も合議制で決めたので、企画はなかなか通りませんでしたよ(苦笑)。

 陽水さんも拓郎さんも、どんなに予算をかけたレコーディングでも気に入らなければ破棄してやり直す。僕もそんなこだわりこそが大事だと思っていた。でも社長の立場では、まずは売れなければいけないと思ってしまう。ミュージシャンと社長のはざまで苦しかった。結局、社長は2年で辞めました。一ミュージシャンに戻ってからは、自由に振る舞える喜びを味わっています。(聞き手 竹中文)

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