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【王位継承物語】危機のさなかの継承 立憲君主像を確立したジョージ5世 関東学院大教授・君塚直隆

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【王位継承物語】
危機のさなかの継承 立憲君主像を確立したジョージ5世 関東学院大教授・君塚直隆

英国王ジョージ5世(手前)と馬車でバッキンガム宮殿に向かう皇太子時代の昭和天皇=1921年5月、英ロンドン 英国王ジョージ5世(手前)と馬車でバッキンガム宮殿に向かう皇太子時代の昭和天皇=1921年5月、英ロンドン

 こののちジョージ5世は、父の期待に違わぬ理想的な立憲君主となった。第一次世界大戦(1914~18年)では、「国民の模範」となるべく、暖房や照明の使用を最小限に抑え、風呂もお湯をためるのは5~6センチだけ。あとは水で済ませた。宮殿での晩餐(ばんさん)会も酒類はいっさい厳禁となった。さらに大戦中の4年間に国王が慰問に訪れた連隊の数は450、病院訪問と軍需工場・港湾への慰問もそれぞれ300回ずつ、勲章や記章を自ら授与した人数は5万人を超えていた。この君主とともに国民は大戦を乗り越え、勝利した。

 戦後も世界恐慌を乗り切るため、挙国一致政権を樹立する際に、国王は抜群の指導力を発揮し、これを実現した。晩年の35年に「在位25周年記念式典(シルバー・ジュビリー)」をむかえたとき、国民全体がこの「国父」の慶賀を心から祝ったのである。「立憲君主の鑑(かがみ)」ともいうべきジョージの姿は、21(大正10)年に訪英して、彼から大歓迎を受けた日本の裕仁皇太子(のちの昭和天皇)にとっても「理想の君主像」になった。

 さらにジョージの孫で、今年在位66年をむかえ、92歳の現在でも国民とともにイギリスを支える、エリザベス2世にもその精神は脈々と受け継がれているのである。

                  

 次回は6月21日に掲載します。

                  

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