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ウェイリーの名訳「源氏物語」を日本語に カタカナ多用、不思議な世界

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 ■英訳の最高峰

 日本文学研究者のドナルド・キーンさん(95)は、18歳のとき、たまたまニューヨークの書店で手にしたウェイリー訳に魅了され、日本文学の道に進んだ。「源氏物語の英訳(全訳)は、米国人のエドワード・サイデンステッカー訳など4種あるが、ウェイリーが最高。日本でウェイリーが知られることは本当にうれしい」と話す。

 源氏物語の英訳を研究している早稲田大非常勤講師の緑川真知子さん(64)は「とてつもなく美しい英語で、日本語に訳出するのは至難の業」という。ウェイリーはシェークスピアに比肩すると評されたほど豊富な語彙と造語も用いて、詩的感性によって原典の趣を英文に再現した。

 ウェイリー版の日本語訳は10年前、平凡社ライブラリーから刊行されている(佐復秀樹訳、全4巻)。にもかかわらず、毬矢さん、森山さん姉妹が再翻訳本を企画したのは、「俳人、詩人の自分たちならではの、全く違った味わいの訳文を生み出せるのではないか」という思いからだ。

 思い切った意訳も含め、二次創作に近い。「日本を全く知らない当時の英国人読者が、初めて読んで感じた雰囲気を残したかった」(森山さん)という。

 日本と欧米を往還する間に、さまざまな文化的イメージを巻き込み、時代も国も特定されない不思議な世界で、恋を通じて深く生きる女性たちの普遍性が浮かび上がる。カタカナになじんだ今の時代の現代小説のように読める。

 ■詩的イメージ

 ウェイリーは和歌を全ては訳さず、会話文として表したものも多い。再翻訳本は「歌物語」の系譜に連なる詩的なイメージを残すため、あえて元の和歌を入れた。《心あてにそれか とぞ 見る。白露の光添へたる夕顔の花》(夕顔巻)

 表記は、源氏研究者で詩人の藤井貞和・東大名誉教授による。

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