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講談社、漫画で学ぶ「学術文庫」創刊 「罪と罰」「資本論」「政談」…エンタメにアレンジ

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講談社、漫画で学ぶ「学術文庫」創刊 「罪と罰」「資本論」「政談」…エンタメにアレンジ

『罪と罰』(まんが学術文庫)の一コマ (c)岩下博美/講談社 『罪と罰』(まんが学術文庫)の一コマ (c)岩下博美/講談社

 講談社が今春、古今東西の名作小説や哲学書、学術書を漫画にした新レーベル「まんが学術文庫」を創刊した。これまで『罪と罰』(ドストエフスキー)など7作品を出版。忠実に漫画化するのではなく、原典のエッセンスを残しつつ、ストーリー漫画としても面白く読めるようアレンジした。石井徹編集長(59)は「エンタメとしても面白い学術文庫を目指したい」と狙いを語る。

 同文庫の企画が始動したのは昨年夏。40代の読者を中心に、「名作を読み返したい」という需要が多いことがきっかけになった。

 「40代は人生の折り返しを迎え、指針に迷う時期。仕事に家庭、介護、老後…。自分自身もそうでしたが、過去の名作や哲学などに救いを求めたい気持ちが出るタイミングなんです」

 作品の選択基準は、高校の教科書に出てくるか、『資本論』(マルクス)など挫折する読者が多い作品。恋愛やぜいたく品を求める人々の欲求が資本主義の発展を促したとする論文『恋愛と贅沢(ぜいたく)と資本主義』(ゾンバルト)など、知名度は低くても面白いと判断した作品も採用した。

 石井さんは入社以来、30年以上にわたり漫画誌に編集者として携わってきた。「今の時代、ただの学習漫画では売れない」と、面白さにもこだわり、『資本論』の場合は、「男女の三角関係」と「復讐(ふくしゅう)劇」を作品世界に取り入れた。

 ひときわ異彩を放つのが、江戸中期の儒学者、荻生徂徠(おぎゅうそらい)が記した『政談』だ。原書は幕政改革についての意見書だが、漫画版の舞台はAI(人工知能)に統治されることになった2055年の東京。AIが指示する「国民の住居は(中略)国が定める」「無職を禁ずる」などの政策により、日本社会がどう変容していくのかを描く。石井さんは「近未来を舞台にしたことで、逆に徂徠の思想を分かりやすく抽出できた」とみる。

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