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【高畑勲監督のお別れの会】宮崎駿監督のあいさつ全文(上)「95歳まで生きるものと…」

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 「パクさん、たばこをやめてください」と僕。「仕事をするためにやめてください」と鈴木さん。弁解やら反論が怒涛(どとう)のようにふき出てくると思っていたのに、「ありがとうございます。やめます」と、パクさんはきっぱりと言って頭を下げた。そしてパクさんは本当にたばこをやめた。

 僕はわざとパクさんのそばにたばこを吸いに行った。「いいにおいだと思うよ。でも全然吸いたくなくなった」とパクさん。彼の方が役者が上だった。やっぱり95歳まで生きる(と思い込む)人だなと思った。

55年前の出会い

 1963年、パクさんが27歳、僕が22歳のとき、僕らは初めて出会いました。その初めて言葉を交わした日のことを今でもよく覚えています。黄昏時のバス停で、僕は練馬行きのバスを待っていた。雨上がりの水たまりの残る通りを、1人の青年が近づいてきた。

 「瀬川拓男さん(人形劇団太郎座の主宰者)のところへ行くそうですね」

 穏やかで賢そうな青年の顔が、目の前にあった。それが、高畑勲ことパクさんに出会った瞬間だった。55年前のことなのに、何とはっきり覚えているのだろう。あのときのパクさんの顔を、今もありありと思い出す。

 瀬川拓男氏は人形劇団太郎座の主宰者で、職場での公演を依頼する役目を僕は担わされていたのだった。

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