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【アート 美】「田中一村の絵画」展 奄美の自然に身を委ねて

田中一村「熱帯魚三種」昭和48(1973)年 岡田美術館蔵 (c)2018 Hiroshi 
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 白く大きな花の群れは、寄せる波のよう。その下ではアカショウビンが1羽、静かに枝にとまって遠くを見つめている。

 孤高の日本画家、田中一村が奄美大島(鹿児島県)で描いた「白花と赤翡翠(あかしょうびん)」(昭和42年)。縦156センチ、横60センチの大作だ。絵をつぶさに見るうち、南国の景色に入り込んだような錯覚をおぼえる。

 ほぼ実物大で描かれている白花はダチュラと呼ばれ、正式名はキダチチョウセンアサガオという。一村は緑と白、グレーの繊細なグラデーションで、花の立体感や花弁の開き具合を巧みに表している。奥に細長く垂れ下がるのは、ガジュマルの気根(空気中にのびる根)。夏場、奄美に渡ってくるアカショウビンの写生を何度も何度も繰り返したのだろう。赤いくちばしの微妙なカーブ、目の上のわずかなくぼみ、背中に入った青いハイライト…見れば見るほど発見がある。

                   

 一村が単身、奄美の名瀬港に降り立ったのは33年、50歳のとき。「自分の良心が満足するまで練りぬく」「絵かきとしての最後を飾る絵をかく為(ため)に来て居る」とその頃、手紙に決意をしたためている。

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