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【「正論大賞」東京講演会】新保祐司氏「明治の精神の復活と保持を」 講演要旨

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【「正論大賞」東京講演会】
新保祐司氏「明治の精神の復活と保持を」 講演要旨

「正論大賞」受賞記念東京講演会で講演する新保祐司氏=1日午後、東京都千代田区(鴨川一也撮影) 「正論大賞」受賞記念東京講演会で講演する新保祐司氏=1日午後、東京都千代田区(鴨川一也撮影)

 明治の精神とは何か。1つ目は、明治の精神は日本人の伝統精神という台木に西洋文明という接ぎ木がされていたということがある。そして見事な枝ぶりを示したのが明治の日本だった。

 2つ目は、明治の精神の典型は、国木田独歩の名作の題名でもある「非凡なる凡人」の精神だった。そうした非凡なる凡人が明治時代には大勢いた。数百万人いたかもしれない、こうした非凡なる凡人たちが明治の栄光を支えていたのだ。

 3つ目は「義の精神」だ。日本文明は美の文明と思われるかもしれないが、その中でまれに義を愛する人たちが出てくる。義を貫く人間たちが活躍した明治維新および明治時代は、ある意味で“日本人離れ”した日本人が活躍した時代だったともいえる。

 (昭和15年完成の)交声曲「海道東征」の復活を「戦前の復活だ」という人もいるが、決して戦前の復活ではなく「明治70年代の復活」なのだ。日本文明の一番の問題は、戦前ならぬ明治70年代と戦後とで文明が断絶してしまったことであり、敗戦を機に封印された「海道東征」が今、復活しつつあることは、明治70年代の復活だ。これは日本文明の将来にとって大きな意義を持つ出来事だろう。

 日本人が保持すべき日本文明は、戦後70年余の日本文明ではない。われわれが保持すべき日本文明とは、「海道東征」の復活に象徴されるように、明治に始点を置いて、戦後の歪(ゆが)みを正した上での日本文明でなければならない。われわれは今、戦陣の中にいる。現在の苛烈な世界の中で、われわれには応戦する意志があるか、精神的エネルギーを保持しているのかが問われているのだ。

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