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【明治の50冊】(13)西郷隆盛「南洲翁遺訓」 「敬天愛人」に秘めた凄み

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 陽明学の影響を深く受けた西郷の言う「天」とは、社会において自分が何をなすべきかという宿命の自覚を促す存在だった、と先崎教授は指摘する。昔の聖人や賢者の書を単に知識として学ぶだけでは、どうしようもない。いまや危機の時代である。実践と行動こそが重要であり、それは眼前で崩壊しつつある日本社会の秩序を再構成することだ-。その思想が有名な「命もいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ人は、仕末(しまつ)に困るもの也。此(こ)の仕末に困る人ならでは、艱難(かんなん)を共にして国家の大業は成し得られぬなり」(30条)との言葉にもつながってくる。

 「敬天愛人」という一見穏やかな言葉の背後にひそむ、何もかも捨てて行動に邁進(まいしん)することを促す尋常ならぬ激しさ。そのことに思い至るとき、茫洋(ぼうよう)として優しげな風貌の「西郷どん」が秘めた凄(すご)みが見えてくる。(磨井慎吾)

                  

 次回は23日『真善美日本人』『偽悪醜日本人』(三宅雪嶺)です。

                  

【プロフィル】西郷隆盛

 さいごう・たかもり 文政10年12月(1828年1月)、薩摩(鹿児島県)の下級藩士の家に生まれる。号は南洲。藩主の島津斉彬(なりあきら)に登用されて頭角を現し、失脚を経つつも討幕運動の中心人物となって薩長連合や王政復古、江戸城無血開城などを成し遂げる。新政府では陸軍大将、参議を務め、廃藩置県や徴兵制導入を実現するが、明治6(1873)年の政変で下野。10年、鹿児島で挙兵し西南戦争を起こすが、政府軍に敗れ自刃した。

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