PR

ライフ ライフ

【明治の50冊】(13)西郷隆盛「南洲翁遺訓」 「敬天愛人」に秘めた凄み

Messenger

 以後、戦前から現在に至るまで、解説や現代語訳を交えたさまざまな版が出版された。今も岩波文庫『西郷南洲遺訓』や角川ソフィア文庫『新版 南洲翁遺訓』、中公クラシックス『大西郷遺訓』など、各出版社が独自の編集を施した版を刊行し続けている。

 遺訓本文は全41カ条と追加2条からなり、原文のみを記せば文庫本で15ページ程度に収まるごく短い分量だ。内容は為政者のあるべき姿勢や日本の文明化の方向性、人として行うべき道など、西郷の国家観や人間観が端的に語られている。

 「道は天地自然の物にして、人は之(これ)を行ふものなれば、天を敬するを目的とす。天は人も我も同一に愛し給ふゆゑ、我を愛する心を以て人を愛する也(なり)」(24条)

 シンプルな記述ゆえに、現代人がうっかり読むとただ平板な道徳的メッセージとして解釈してしまいかねない。だが同書に詳しい先崎彰容・日本大教授(日本思想史)は「単に人生教訓として表面的に読むのではなく、西郷がどんな儒教の教育を受けて、いかにそれを血肉化していたかという背景に目を向けなければならない」とくぎを刺す。

 「人を愛するといっても、立場の違いで激しく殺し合った時代状況では、非常に困難なもの。だから最初に『敬天』が必要になる。天というのは儒教特有のある種の宿命論で、眼前の人間社会があまりに殺伐としているからこそ、それを超えた存在を考えなくてはならなかった」

続きを読む

関連ニュース

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ