ライフ ライフ

「人生100年パートナー」野村グループが提言する「これから」の資産承継とは

Messenger

 100歳まで生きることが当たり前となる「人生100歳時代」を迎える中で、資産を次世代に引き継ぐ「資産承継」に思いを巡らす人も少なくないのではないか。野村證券は今年1月、「人生100年パートナー」を宣言。長寿社会の課題を解決する最適な金融サービスの提供を目指した取り組みを本格化させている。その中で訴えているのは「資産寿命を延ばす」という考え方だ。資産寿命を延ばすために対策をしっかりしないと、相続税や生活費などでいずれ資産が枯渇することにもなりかねないと指摘する。産経新聞が立ち上げた「100歳時代プロジェクト」にも参画する野村グループがアドバイスする親から子、子から孫へと資産を減らさず大切に承継するためのポイントを整理した。

家族とともに世代を超えて考える資産承継

「事業承継には長期的な視点が欠かせない」と語る成清紘介・野村資産承継研究所研究課長
「事業承継には長期的な視点が欠かせない」と語る成清紘介・野村資産承継研究所研究課長

 「税理士事務所に相続の相談をすると、税務業務が中心になり、法律事務所では、遺言など法務業務が中心になります。個別に相談をしないといけない。しかし、資産承継をプランニングするには、税制や法務、経営、金融や不動産マネジメントなどの幅広い分野での統合的な知見が必要です」と野村資産承継研究所の成清紘介研究課長は人生100年時代の資産承継のあり方をこう説明する。

 「人生100年パートナー」宣言で野村證券が目指すのは超長寿社会を見据え、一人一人の人生に最適な商品・サービスを提供するとともに、本人にとどまらず、世代を超え、家族とも連携した長い時間軸での顧客サポートの展開だ。グループのシンクタンクである野村資産承継研究所とも連携し、資産承継や事業承継に対するきめ細かい顧客対応にも力を入れている。

 野村資産承継研究所は多様化する資産承継に関する顧客の悩みにワンストップで対応することを目的に2015年4月に設立された。税務や法務、経営、金融資産や不動産のマネジメントなど各分野の専門家を集め、資産承継や事業承継に関する法令や制度などを統合的に研究すると同時に、資産承継や事業承継対策のコンサルティングを行っている。「人生100年時代を迎え、本人だけでなく、家族やその次の世代とも連携した長期的な視点でのサポート体制も欠かせなくなってきます。専門家集団である野村資産承継研究所の知見を活かしながら、多様化する顧客の悩みを解消していきたい」と成清研究課長は話している。

低金利と相続税で「第3世代」には資産ほぼゼロに?

「事業承継にとって相続税対策と資産運用は車の両輪」語る河上健・野村資産承継研究所副主任研究員
「事業承継にとって相続税対策と資産運用は車の両輪」語る河上健・野村資産承継研究所副主任研究員

 では、野村資産承継研究所が提案する資産承継とはどんなものなのだろうか。同研究所の河上健副主任研究員は資産を保有する多くの人たちが陥りがちな問題点についてこう指摘する。

 「資産を次世代に残すために相続税対策にしっかりと取り組まれている方は多いのですが、実は、それだけでは資産を守ることはできず、運用についても考えておかないと、資産を承継するたびに目減りしていきます。よく言われますとおり、親から子(第二世代)、子から孫(第三世代)へと引き継ぐうちに枯渇してしまうことになりかねないんです」

 図1をみてみよう。

図1
図1

 90歳になる親(第一世代)が金融資産1億5000万円、不動産資産1億5000万円の計3億円の資産を保有していたとする。安全を重視し、金融資産のほとんどは現預金で保有。現在の低金利が将来も続き、金利はほぼゼロの状態だ。家族は配偶者と子(第二世代)一人。月20万円ずつ金融資産を切り崩しながら生活をしている。

 10年後、100歳で親が亡くなり、配偶者と子が資産を相続。3億円あった資産は生活費と相続税などで2億2000万円に目減りしてしまった。相続の時点で子はすでに70歳。定年退職し、年金生活に入っている。年金と親から承継した資産を親と同様に月20万円ずつ消費しながら30年間生活を続ける。すると、子が100歳で亡くなるころにはすでに金融資産はほぼゼロになってしまう。

 子(第二世代)から孫(第三世代)に相続されるのは不動産だけ。高額な相続税を支払うため、借金をするか、代々受け継ぐはずだった不動産をやむを得ず売却せざるをえない状況に陥ってしまう。

 「この試算はさまざまな条件を排除していますが、決して極端な例ではないのです。親が亡くなるときはすでに子も高齢化して資産を生活費に充てざるを得なくなる。これは『人生100歳時代』には起こりうる姿です」と河上副主任研究員は話す。

相続税対策と資産運用は「車の両輪」

 野村資産承継研究所が日銀の資金統計循環(2016年3月末)をもとに作成した日本人の平均的な金融資産の保有状況をみてみると、現金預金が53.1%と最も多く、次いで保険が29.8%を占めている(図2左グラフ)。

図2
図2

 国内外の株式・債券の占める割合は2割にも満たず、野村證券投資情報部の予測数値をもとに試算した予想される期待収益率は1.3%となっている。現預金の比率がかなり高いため、金融資産全体で生み出す収益はごくわずかにすぎない。生活費などで資産が減り続け、どこかのタイミングで資産が枯渇する可能性は、資産承継が必要とされるどの家庭でも起こりうることなのだ。

 「資産を保有する方は、『減らさない』ことを目標に資産管理している方が少なくないようです。しかし、どんなに相続税の対策を講じても資産の目減りは避けられません。資産を永続的に継承したいのであれば、一定の割合まで収益性を高めなければなりません。運用に関する知見を持って、相続税対策と資産運用を両輪として資産承継をプランニングすることが重要です」と河上副主任研究員は訴える。

 一方、金融資産を一定の利回りで運用できた場合はどうか。金融資産を利回り3.6%で運用できたと仮定すると、何世代にもわたって資産の承継することが可能になってくる。

 90歳時点で3億円あった資産は100歳の相続時には、運用によって3億4000万円に増加。相続税を納付して2億6000万円まで減っても30年間の運用で3億4000万円に回復する。月20万円ずつ消費しても次世代、次々世代へと永続的に引き継ぐことができる。

 安全資産である現預金50%を保有しつつ、期待収益率を3.6%として資産の構成例は図2の右グラフだ。株式や外貨建ての資産など収益率の高い資産をいかに組み入れていくかが検討課題となってくる。

 相続税の基礎控除額が2015年に大幅に引き下げられてから、相続の問題は一部の資産家だけの問題ではなくなり、身近な問題になっている。半面、資産承継に関するさまざまな情報が巷(ちまた)に広がり、判断を迷わせる状況にもなっている。これから資産承継を考える人、すでに資産承継を考えた人も、100年先、200年先を見据えた広い視点から、どういった資産承継がベストなのかを考え直してみてはどうだろうか。

野村證券 本店営業部
野村證券 本店営業部

提供:野村證券株式会社

ランキング