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【書評】『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー』 代表的作家7人の物語世界

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【書評】
『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー』 代表的作家7人の物語世界

『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー』 『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー』

 劉慈欣(リウ・ツーシン)の「円」も鮮烈だ。時は秦、斉、楚、魏、趙、燕、韓の7国が覇権を争う戦国時代。燕の刺客でありながら秦の政王(のちの始皇帝)に仕えることになった学者は、円周率の無限の数列に宇宙の謎が隠されていると言う。不老不死を願う王は、学者に円周率を10万桁まで明らかにするように命じる。彼は300万の軍隊を用いた人間計算機を考案するが…。

 数字の知識がまったくない兵士に単純な動作を教えて複雑な計算を可能にするところが面白い。登場人物が自ら夢見たものに裏切られる結末も余韻を残す。

 実は「円」は『三体』という長編の一部を抜粋したものだという。部分でも壮大な話なのに全体はどうなるのか。完訳が待たれる。(ケン・リュウ編、中原尚哉ほか訳/早川書房・1900円+税)

 評・石井千湖(書評家)

●=赤におおざと

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