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【書評】『みちのく仙台常盤町 小田原遊廓随想録』千葉由香著 情と記録で掘り下げた輪郭

『みちのく仙台常盤町 小田原遊廓随想録』千葉由香著
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 悪所、とされる場所について書かれていながら、露悪的になることもなく、感傷的にもならず、美化もせず。ちょうどいい塩梅(あんばい)の視点をもって、かつてあった遊郭の輪郭をえがく。

 このルポルタージュは『別冊東北学』に連載され、かつて遊郭のあった東京・吉原に拠点を置くカストリ出版によって出版された。2000(平成12)年から04年にかけての取材を基にしている。戦前のこの場所を記憶していた人たちに直に会える、最後のタイミングだった。

 東北随一の規模を誇った仙台小田原遊郭ができたのは明治時代。娼妓(しょうぎ)がお客を迎える貸座敷は30軒以上あった。その区画の中にある「大門前の呉服店」で生まれ育った娘さんは、千代駒さんという娼妓にとりわけ可愛(かわい)がってもらったという。千代駒さんが身請けされて遊郭を出た後も「『遊びにございん』って誘われて何回か遊びに行った。映画に連れて行ってもらって泊まったこともあるよ」。呉服店を営む父は、買い物に来た娼妓らを「おう、あがってお茶飲んでがいん」と迎えたそうだ。彼女らは「煮付けやら漬物やら食べてお茶飲みして、しゃべっていくのが楽しみだったの」。当時少女だった語り手は、そう思い起こす。

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