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【書評】『日本酒の人 仕事と人生』山同敦子編著 6人の杜氏が銘酒を造り上げるまで

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【書評】
『日本酒の人 仕事と人生』山同敦子編著 6人の杜氏が銘酒を造り上げるまで

『日本酒の人 仕事と人生』山同敦子編著 『日本酒の人 仕事と人生』山同敦子編著

 廣木氏や高嶋氏は、「うまい酒を作れば売る!」という販売店の力強い支援を受け、そんな言葉を待っていたかのように酒造りに邁進(まいしん)。他の人も「十四代」「開運」「磯自慢」といった名だたる銘酒に巡りあい、生来の職人魂が揺り動かされたがごとく、うまい酒造りを一心に志す。

 何より素晴らしいのは、既存の美酒に触発されたといっても、誰もが、その後追いをしていないこと。五十嵐氏は愛する湘南にこだわった夏酒を、高嶋氏は地元沼津の干物に合う雑味を残した酒を、と皆独自の味わいを造り出しており、お見事だ。

 6人の語りは一冊通して読んで違和感がない。巻末には用語解説や5酒が購入できる酒販店リストも。女人禁制も今は昔。研修制度もあって、業界は開かれている。日本酒が美味(おい)しいわけだ。

 もちろん私も、今宵(こよい)は美酒を一献!(フィルムアート社・1800円+税)

 評・明野照葉(作家)

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